本文です

寿屋問題など雇用対策が急務とは

 選挙戦で、三候補とも雇用拡大を公約に掲げた。しかしそれは並大抵の策では済まない。水俣の既存企業は売り上げ不振で人員削減もやむを得ない状況だ。寿屋水俣店の閉鎖も市経済には大きな打撃だった。商店街も頭を痛め、突然の離職者増で職安は対応に追われているからだ。

 さらに忘れてはならないのが水俣病対策だ。吉井正澄市政の二期八年の間に政治決着がなり、患者と市民との間で対話の雰囲気がようやく生まれた。他市に比べ、医療機関が充実している水俣だが、福祉面のケアが十分とは言い難い。胎児性患者も四十歳を超えた。彼らが自活して生きていける道はあるのか――。親たちは残された時間を気にしながら必死に模索している。市として何を提供できるのかを常に念頭に置く必要があろう。来年度からは、県内の全小学五年生約二万人の環境学習プログラムが水俣で始まる。水俣の経験と復興に向けた取り組みは貴重な教材だ。動き出したばかりのエコタウン事業では、新たに廃プラ処理施設の進出も決まり、環境産業という活路もおぼろげながら見えてきた。

 環境の街として、学びの場所として期待を集めている。半世紀に及ぶ苦しみを抱えた街だからこそ、人に優しい福祉の先進地にならねばならない。本当の試練はこれからだろう。経済振興を図りながら、全国に、世界に何を発信していけるのか。新市長の力量に期待したい。小川 紀之

共通のキーワードを含む商品
Supported by 楽天ウェブサービス


 YOMIURI ONLINE  直近2週間のYOMIURI ONLINE速報記事より