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漢族流入進む観光客も武装警官も増加建国60年控え街に緊張感/チベットとは◆進む漢族流入 広場に監視カメラ 【ラサ(中国チベット自治区)=梁田真樹子】昨年3月に大規模暴動が発生した中国チベット自治区の区都ラサは、青蔵鉄道による漢族観光客らの流入が続き、にぎわいを見せていた。地元当局は、10月1日の中国建国60周年を控え、「チベットの安定と発展」を強調したが、市内には多数の武装警察官が目を光らせ、緊張感が漂っていた。 歴代ダライ・ラマの宮殿だったポタラ宮は15日、8月に改修した直後とあって、漢族や欧米の団体客で大混雑していた。昨年の暴動で抗議行動が行われたとされるチベット仏教の名刹(めいさつ)、ジョカン寺(大昭寺)にも、大勢のチベット族の巡礼者が集まっていた。 中国政府は、暴動後しばらく、観光客の自治区入境を規制したが、今や一見、平和な観光都市だ。市内では、一眼レフなど高価なデジカメを手に闊歩(かっぽ)する漢族が目立つ。彼らが増えたのは、青蔵鉄道開業の影響だ。 12日夜から13日夜にかけ、記者(梁田)が乗車した鉄道は漢族らで満席。運賃が安い普通席にはチベット族もいたが、寝台車には漢族と外国人ばかり。出張に来た地方幹部の漢族、郭新民さん(55)は「21年前にチベットで働いたことがあるが、大発展だ。北京など東部の支援が奏功した」と誇らしげに話した。 だが、観光客でにぎわうジョカン寺近くの広場には警察車両が集結、「監視カメラ」(地元住民)も設置され、土産物屋が並ぶ八角街では銃を構えた武装警察官が3人ずつ立ち並ぶ。漢族が運営するタクシー会社で働くチベット族の運転手(50)は、「武装警察が増えて、息苦しい」と、ため息をついた。 今年は、チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世がインドに亡命して50年。中国が今回、記者ら日本報道陣の取材ツアーを認めたのは、海外で批判があるチベット政策の正しさと自信を示す狙いと見られる。 市内の各所には「民族の団結を強めよう」との垂れ幕が掲げられていた。当局が紹介したラサ郊外のチベット族家庭には、中国政府認定のパンチェン・ラマ11世の写真が飾ってあり、チベット族が信奉するダライ・ラマの写真を見ることはできなかった。自治区共産党の崔玉英常務委員は「ダライ・ラマの活動阻止が重点だ。市民はそれを支持している」と言い切った。 自治区民族宗教委のアペ・チンユア副主任は、「チベット仏教の信者や僧侶は中国国民としての自覚が必要。暴動に関与した一部僧侶には教育を受けさせた」と述べ、寺院への統制を強めていることを認めた。 ラサは、観光振興や経済開発のためとされる青蔵鉄道開業を機に漢族や開発資金流入が進み、漢族のための街造りが進んだせいか、騒然としたテーマパークのようにも見えた。
〈青蔵鉄道〉 青海省西寧とチベット(西蔵)自治区ラサを結ぶ全長1956キロ・メートルの鉄道。同自治区に初めて敷設された鉄道で、標高5072メートルの世界最高地点を走る。所要時間は最短約24時間。青海省ゴルムド―ラサ間は2006年7月に開業し、830万人が利用した。
図=地図
写真=(右)観光客でにぎわうポタラ宮前広場を警戒する警察官(手前左)(左)ジョカン寺前の広場で目立つ装置(右上)。地元住民は「監視カメラ」と説明した=ともに14日、梁田真樹子撮影
2009年9月16日(Wed)
全国 朝刊
07頁(外A) 05段 1338文字
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