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奈良・平群百条委委員「記者喚問は汚点」副委員長「過去の事例知らず」とは

 読売新聞記者を証人喚問し、一日、開かれた奈良県平群町議会の調査特別委員会(百条委)。町と特定の社会福祉法人の配食サービスをめぐる随意契約問題を報道した記事について質問が繰り返される中、委員から「記事は的を射ており、調査が進む中で記者を喚問したのは委員会の汚点」などの声が上がり、記者会見した奥田幸男委員長は「行き過ぎだった」と話した。

 証人喚問は午後二時三十分から行われ、共産党の委員が集中的に質問。「記事の指摘は真相とかけ離れている。ある程度この記事は問題があるのではないか」「他の市町村でもしていることではないか」などとただしたが、記者は「記事に書いた通り」などと答え、取材経緯にかかわることについては証言しなかった。

 この間、約四十分。真相解明につながる質問はほとんどなく、無所属の委員は「一部の意向で、百条委が記者の喚問を決めてしまったのは遺憾」と喚問自体を疑問視する意見を述べた。

 委員会終了後、記者を質問した委員は「(記事内容に)もし間違いがあったら、各方面に迷惑をかけることになる。これまでの調査の中で、疑問に思って呼んだ」と話した。

 終了後、奥田委員長と、飯野敦子副委員長が会見したが、記者の質問に言葉を詰まらせる場面も。奥田委員長は「証人を呼ぼうという委員会を収めようとしたが、こういう結果になってしまった」とし、記者から「認識が甘かったのでは」と聞かれると、「そう思われても仕方ない」とした。飯野副委員長も「記者の証人招致が問題化した過去の事例を知らなかった。とんでもないことだった」と話した。

 ◆権力の乱用/出席拒否すべき

 百条委への今回の記者招致について、専門家は次のように話した。

 伊予田康弘・東京女子大教授(マスコミ論)「百条委は公の利益に沿って行われる。記者の証人喚問は、目的が明確で、真相究明に役立つ場合でないといけない。今回は不正が明確で、すでに職員も処分され、肝心の目的が全く明らかになっていない。記者に対する暗黙の圧力にあたり、権力の乱用だ」

 新海聡・全国市民オンブズマン連絡会議事務局長「証人喚問は一般の人にとっては心理的な圧迫感を与える。百条委は地方議会に認められた数少ない調査権限で〈伝家の宝刀〉ともいえる。乱用すれば住民の信頼を失い、議会にとって自殺行為となる。住民の代表かと疑いたくなるほど発想が貧困だ」

 橋場義之・上智大教授(ジャーナリズム論)「百条委への調査協力は、メディアの『第三者性』の立場を逸脱する。記事以上に語るのは、メディアの独立と報道の自由を危うくすることにつながる。記者への喚問は、本来の目的を外した安易な姿勢と言わざるを得ない。記者は出席を拒否し、不当性を表明するべきだ」

 渡辺武達・同志社大教授(メディア論)「真実を明らかにした人を守らないと民主政治は成立しない。記者は取材源を明かしてはいけないし、『黙る』義務がある。今回の記事は公益性があり、他の自治体でも起こり得る問題で普遍性もある。守られるべき記事であり、証言しないことで民主社会を守ることになる」

 

 〈百条委員会

 地方自治体の不祥事などの解明のため、地方議会が当該自治体の事務を調査し、記録の提出や関係者の出頭、証言を請求できると定めた地方自治法100条のいわゆる「百条調査権」をもとに設置される。

 正当な理由なく証言などを拒めば告発でき、処罰規定もある。民事訴訟法が準用され、医師や弁護士らが職業上知り得た秘密について、証言を拒むことは「正当な理由」にあたる。

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 YOMIURI ONLINE  直近2週間のYOMIURI ONLINE速報記事より